学部・大学院


こども保健学科 教員コラム

夏の終わり

大山 めずる(幼稚園教育実習)


 緑の田に囲まれた我が家の景色に今年も暑い暑い夏がやってきた。
 夏と言うと、私が毎年感じていることなのだが、田植えが終わり蛙が鳴きだすともうそこに夏がやってきていると思うのである。

 夏の朝早い犬の散歩に、農道を右や左へ行ったり来たり立ち止まったりして 歩いていると、蛙が溝に跳びこむ音やさぎの鳴き声、川鵜が一斉に飛び立つ姿やきじのつがいが「ぎえ―ぎえー」と鳴きながら竹藪に帰って行く。それまで静かだった田の風景が急に騒がしくなり命の動きを感じる時間だ。人も動き始め、遠くで草を刈る機械の音や車の行きかう音に、私は元気をもらって生活をしているのに何か物足りなさを感じるのである。すでに学校は夏休みなのに、子どもの声や姿を身近に感じられないのはなぜだろう。この村も子どもの数は減り、子どもが安全に思いっきり遊べる環境でないことは確かである。

 子どもが遊べる環境とは、子育てがしやすい環境(地域)ではないだろうかと思いを巡らしていると、東京から孫二人と娘が「1年間のご無沙汰」と帰省。そして、一番にやりだしたことは、犬の散歩である。暑い炎天下、走ったり歩いたり川を覗きこんだりと大忙し。「なまず見つけた」「どじょうもおった」と網を持ってつかまえに。2時間余り孤軍奮闘しつかまえたのはなまず一匹と どじょう二匹。親子の「やったあー」という表情に、私は夏休みを感じたのである。休む暇なく草だらけの畑を走り回り、蛇などなんのその、蛙やバッタを追いかけ、草花や土や石ころや水を巧みに使ってままごとに夢中なっている。暑い夏の一日がアッという間に過ぎていく。 じじばばらしく、夏休みの思い出にと「どこかへ行きたくない」と尋ねると「ひめじのどうぶつえん」と言う二人の元気な声に、じじばばは気落ちがしてしまった。もう少し違う所を考えていたのだ。娘いわく「彼女らにぴったりの広さで自由にできて、乗り物も自分たちで乗れるから好きなんよ」と言う。まさにその通り。じじばばにとって、楽しくてお安い夏休みとなったことに感謝である 。

 これから先子ども達にとって、穏やかに思いっきり好きなことができ、いろんなことがいっぱい体験できる社会・地域であってほしい。そして、そんな夏がずっとずっと続いてほしいと願った夏の終わりである。


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