学部・大学院


こども保健学科 教員コラム

大山 めずる(幼稚園教育実習)


 渡り廊下で数人の学生が、「神姫バスがいっぱいや 何やろう」と言いながら、携帯電話で写真を撮っている。下を覗いてみると、大学の北から南のバス停まで、十数台の観光バスと路線バスがずらりと並んでいる。見事な景色だった。私は聞かれてもいないのに「私立の高校受験よ」と言うと、「すごい!こんなん初めて見た」と驚いていた。

挿絵画像

 私は我が子の高校受験(十五の春)のことを思い出していた。
 ずっと働いてきた私は、参観日はほとんど欠席、運動会などの大きな行事は 祖父母と主人に頼って子育てをしてきた。でも、一つだけがんばったことがある。三度の食事と弁当作りだ。当たり前のことなのだが、自分を褒めるにはこれしかない。3人の子は、無事十五の春を乗り越えた。親として大きな仕事(責任)を終えたような気持ちになった。もちろん留守を預かってくれた祖父母の大きな力があったことは言うまでもない。ただただ感謝である。
 真剣に勉強したことのない3人は、高校で先生から「今まで勉強してないんやから やったら出来る」と言われ、「やっぱり大学に行く」とがんばりだした。どの子も遅い出発だったが、先生との出会いがあって自分の進む方向を決めることができた。大学でも尊敬できる先生と出会い、その人間関係から社会に出ていくための自信と知識を学ぶことができた。

 幾度かの受験という春を乗り越え、幼児教育の専門家となる夢をもって勉学に励んでいる学生たちに私は、幼稚園現場で培ってきた幼児教育の大切さややりがい、子どもたちの素晴らしさをしっかりと伝えなければならない。

 私たちには仕事を選べるという平等が与えられているが、自分の夢と懸け離れた仕事につくこともある。どんな時も自分の個性(力)を堂々と表現できる人になってほしい。
 「20歳代は、こわがらずに全てのことにチャレンジしてほしい。
 30歳代では、20歳代で経験したことを活かせる人となり、責任をもって自分の道を歩んでいってほしい」
 心から応援している。


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