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【報告】 薬学部 安岐助手・岡村教授、ペプチド結合の切断をリアルタイムで観測し、異常型D-アミノ酸が蓄積する仕組みを明らかに:Scientific Reportsに論文掲載![薬学部]

2016/02/17

 薬学部・生物物理化学研究室の安岐助手・岡村教授は、目の水晶体に存在するタンパク質・クリスタリンの模擬ペプチドを用いて、ペプチド結合の切断の様子をリアルタイムで観測し、クリスタリン中で異常型D-アミノ酸が蓄積する仕組みを明らかにしました。研究成果は、英国nature com.が発行するScientific Reports誌(電子版、2016年2月15日付け)に掲載されました。

 これまで、タンパク質はL-アミノ酸で構成され、D-アミノ酸は存在しないと考えられていました。ところが、近年、高齢のヒトの水晶体タンパク質・クリスタリンの特定部位に、異性体であるD-アスパラギン酸、特に、D-β-アスパラギン酸が多く蓄積していることが分かってきました。このような、異常型のD-β-アスパラギン酸の蓄積は、タンパク質の構造や機能を変化させ、白内障など加齢による疾患の原因につながるのではないかと指摘されています。

 ペプチド・タンパク質中の天然型L-α-アスパラギン酸(L-α-Asp)では、速さの違いはありますが、加水分解を受けて、ペプチド鎖が自然に切断されます。たとえば、図のような配列 (I)では、Aspと隣のセリン(Ser)の間のペプチド結合が選択的に切断され(破線)、L-AspとSerを末端とする2種類の配列 (II)、(III)に変化します。

 安岐助手・岡村教授は、核磁気共鳴(NMR)を利用して、切断前のL-α-Asp−Serと切断によって生じた末端のL-AspとSerをすべて区別し、ペプチド結合が切断される様子をリアルタイムで観測することに成功しました。D-β-アスパラギン酸(D-β-Asp)を含む配列についても同様の観測を行った結果、D-β-Aspを含む配列ではペプチド鎖の分解切断が起こりにくいことが、量的に明らかとなりました。このことが、クリスタリン中で異常型D-β-Aspの蓄積を促進しているものと考えられます。

参考論文:Aki, K. and Okamura, E. D-β-aspartyl residue exhibiting uncommon high resistance to spontaneous peptide bond cleavage. Sci. Rep. 6, 21594; doi: 10.1038/srep21594 (2016).

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