学部・大学院

薬学部コラム

<<< コラム一覧     << BACK     NEXT >>  
第2回

My Brief Sketch

健康管理学研究室 炬口 真理子 講師


医療薬学科1

薬学部長・奥村先生からバトンを受け継ぎました健康管理学講座の炬口(たけのくち)です。姫路獨協大学にきて4ヶ月、ようやく「先生」と呼ばれるのにも慣れてきたところです。これまで患者さんには「先生」と呼ばれてはいたものの、学生さんに言われるとまた違った感じがします。私は今年3月まで神戸大学病院・検査部で臨床検査技師として働いていました。薬剤師であるのに何故臨床検査技師としての道を選んだのか、それは大学時代の師との出会いにありました。神戸(女子)薬科大学3年生のとき渡辺富久子教授に出会いました。先生は臨床化学の講義において、検査の世界には薬学の知識を持つ者が必要であると力説されていました。それは、阪大検査部において先生が身をもって感じられたことでした。それに加え、当時唯一の女性教官として「女性であってもずっと仕事を続け常に向上心を持っていて欲しい」との言葉に共感し、私は先生のゼミに入り、臨床検査の道に進むことを決意しました。無事、薬剤師と臨床検査技師の国家試験に合格し、神大病院・検査部に就職した私は、血液検査室に配属されました。薬学出身の私に血液像など読めるわけがなくとても戸惑いました。薬学出身者は役に立たないと思われたくない一心で、先輩方に教えられながら一生懸命血液像を読み続けました。その甲斐あって一年後にはマルク(骨髄像)を読めるまでになりました。2年後に移った生化学検査室では、薬物血中濃度測定など薬学の知識を生かせる場面が多々巡ってきました。次に移った遺伝子検査室では、検査の最前線に身を置くことができました。またここで「研究する」ことに興味を持ち始め、忘れかけていた薬学の知識を取り戻そうと母校(神薬大)の大学院に入りました。仕事を続けながらの就学は大変でしたが、職場のメンバーの協力があり、やり遂げることができました。卒業後すぐ神戸大学医学部の博士課程に入り研究を続けました。ここで現在の師、西郷先生(現教授)と出会いました。検査部では私を含め4名が学位を取得し、今も数名が博士課程に進んでいます。検査技師も高い知識を持って臨床の場で医師と対等に話ができるようになることが検査部の目的です。医療薬学科2神大検査部では検査技術はもちろんのこと、研究、チームワーク、患者への思いやりなど様々なことを学ぶことができました。数年前から、薬学部出身者は臨床検査技師の国試を受けることができなくなりました。また、薬学が6年制になり実務実習が強化されました。これらは高度化する医療には、より高い専門性が必要とされていることの現れです。20年間臨床の現場で働いてきて、渡辺先生の目指す検査の世界に薬学の風をもたらすことができたかといえば自信がありませんが、これからは薬学生たちに臨床検査の、そして医療現場の風を吹き込むことができればと思っています。

ページの先頭へ