トピックス  
 
健康管理学講座

大渕助手、在宅薬学会のバイタルサイン講習会で講演


2017-08-06

 神戸国際会館にて、日本在宅薬学会(日在薬)主催、薬剤師のためのバイタルサイン講習会にて大渕助手が講師を務めました。
 本学3年生の病態解析学実習で、フィジカルアセスメントを指導するために、日本在宅薬学会(日在薬)にてバイタルサイン講習会を受講したのがきっかけとなり、バイタルサイン講習会で講師を務めることができる、エヴァンジェリストになり、今回、講師を務めることとなりました。

 日在薬では、バイタルサインチェックを実践する薬剤師の養成に取り組んでいます。薬物療法の質の向上のためには、薬剤師自らがバイタルサインをとり、患者さんの状態を把握することが欠かせないと考えられます。薬剤師は長い間、患者に触れてはいけない職種とかんがえられてきましたが、高齢化により在宅医療が増加するにつれ、薬剤師が本来の役目である、「医薬品の適正使用」と「医療安全の確保を」行うためのツールの1つにバイタルサインチェックがあり、そこからつながるフィジカルアセスメントがあります。


 北は北海道から、南は福岡まで、全国各地で活躍されている薬剤師に、手技の部分をメインに講義しました。初めて聴診器を触る方もいれば、普段から在宅に行き、手技確認のために受講したかたもいらっしゃいました。5時間という長丁場でしたが、有意義な時間を受講生の方々と過ごすことができました。


ガン診断のための血液検査について講演


2017-02-27

2017年2月21日
リーガロイヤルホテル(大阪)公開講座にて「血液検査最先端;がんの診断、治療そして予防に役立つ情報」というタイトルで、西郷教授が講演しました。
 講演内容は 1)がんの疫学、2)血液を用いたがんの早期診断の可能性、そして 3)がん予防と血液データ、についてでした。

1)がんの疫学
 日本人では生涯2人に1人ががんに罹患し、男性では4人にひとり、女性では6人に1人ががんで死亡することが示されています(2014厚労省)。 男性でも最も罹患数の多いのは胃がん、女性では乳がんであり、これらは検診をうける価値が高いと言えるでしょう。 一方考えておく必要があることの1つに、侵襲のある検診を何歳まで許容できるか、という問題もあります。 検査の危険性と、ベネフィットを天秤にかける必要があるからです。欧米では、検診の年齢上限が定められているものがあり、 日本でも今後考えていくベキ問題でしょう。

2)血液を用いたがんの早期診断の可能性

(1) アミノインデックス
 味の素社が開発した、血中の遊離アミノ酸の分析を用いたがんリスク検診が一部の医療機関で実用化されています。 保健では未収載であること、あくまでリスク検診であり存在を示すものではないこと、を理解する必要はありますが、 簡便で興味深い方法だと思われます。今後人間ドック等でも応用されるのではないかと期待されます。

(2) 遺伝子検査
 血液中の癌細胞由来の遺伝子を解析する方法は、一部日常臨床に広く応用されています。 今回は慢性骨髄性白血病の診断、治療効果の把握におけるBCR-ABL遺伝子メッセンジャーRNAの定量について紹介しました。 西郷教授が現在治療中の10数名の患者さんでも、経過をしっかり確認でき、一部の患者さんでは治療を中止できたこと等が紹介されました。

(3) エクソソーム、マイクロRNA
 がん細胞を含む様々な細胞から放出されるエクソソームは、その表面に様々なタンパク質を保有していること、 さらに様々な働きをするマイクロRNA(メッセンジャーRNAではない!)を含んでいることが注目されています。 マイクロRNAは、ほかの遺伝子の働きを調整する機能をもっていますが、がんの種類によって特異的なパターンを示すことが沢山報告されるようになり、 がんの診断法として注目されています。(1)の方法と同様に、早期のがんでも検出できる可能性のあることが魅力的です。

3)がん予防と血液データ

(1) ウイルス、細菌によるがん  B型、C型肝炎ウイルスが肝硬変、肝臓癌の誘因であることは確実で、治療法も進歩しつつあります。 今回は胃がんの要因である、ヘリコバクターピロリー菌の感染診断における血液検査を紹介しました。いわゆるABC検診と呼ばれるものですが、 できるならば除菌することががん予防につながると考えられます。

(2) カロリー制限
 永年論戦が繰り広げられていましたが、2017年1月のネイチャーコミュニケーションズで結論が出たと言えるでしょう。 成人以後のカロリー制限は、がんや糖尿病を減らす、と言えそうです。血液検査はなくても体重で推測できる効果ですね。 そのメカニズムは、エピジェネティックスという、遺伝情報の発現メカニズムに関連している可能性について解説されました。

(3) 鉄制限
 体内の鉄過剰は、酸化ストレスを増大させます。従って、やはり成人、あるいは中年以降は鉄分のとり過ぎに注意が必要です。 実際、肉食が多い、つまりヘム鉄が多く含まれる食事は、大腸がんの明らかな誘因であることも示されています。 鉄を減らす最も有効な手段は献血でしょう。血液検査ではフェリチンという項目が、有用な指標といえそうです。 今回は、鉄がなぜ酸化ストレスを起こし、発がんにつながるのか、等についても解説されました。


薬理学会年会シンポジウムで研究成果を発表


2016-03-11

 第89回日本薬理学会年会(横浜)のシンポジウム、「好中球NETosis(細胞外トラップ現象)、Immunothrombosis(免疫血栓)とDIC(播種性血管内凝固症候群)」において、西郷教授が研究成果を報告しました。
 西郷教授の講演タイトルは「Hemin誘発性NETosisおよび鉄キレート剤の効果」です。(発表言語は英語)
 前半は、溶血(赤血球がなんらかの理由により、本来の寿命より早期に破壊される現象)により遊離するヘム(3価鉄を持つもの=ヘミン)が、好中球を活性化させ、活性酸素種を産生させたり、好中球細胞外トラップ現象(NETosis)を引き起こしたりする作用についての報告です。NETosisは、病原菌を殺してくれる良い作用を示す反面、血栓症や重症の肺障害、がん転移、あるいは播種性血管内凝固症候群などの、重篤な病態を引き起こす作用もあることが明らかになってきている現象です。今回の発表は、このような重篤な病態に、溶血によるヘム分子の遊離が、直接的な増悪作用を示すことからその対策が重要であることを示したものです。
 後半は、体内の余分な鉄を排泄させる薬剤である、鉄キレート剤のなかには、このようなNETosisを抑制する作用を有するものがあることを見出したという内容です。
 これらの発表は、これまでの西郷教授、およびその研究グループ(シスメックス株式会社の河野麻理さん、神戸常盤大学の井本しおん先生ら)の報告論文を基に行われたものです。当日は多くの聴衆にお集まり頂き、熱心な討議が行われました。また、西郷教授、河野さんは、シンポジウムのオーガナイザーであった岡山大学の西堀先生や、鹿児島大学の伊藤先生、さらに就実大学薬学部の森先生らと親交を深めることができました。


難病患者の「医療・生活」相談会で、血友病に関する講演


2015-10-05

 2015年9月27日、西郷教授がたつの市で表記の講演を行いました。
 先天性の出血性疾患である血友病では、血液の凝固異常により時に致死的な出血をきたします。わが国には約6000人の血友病患者さんが登録されていますが、非重症例では十分な管理が行われず詳細は不明な状態となっていると推測されます。
 血友病の患者さんに特徴的な出血は、関節への出血と言えるでしょう。膝をはじめとした大きな関節への繰り返す出血は、赤血球中のヘモグロビン、あるいは鉄分子の生体障害作用等により関節の変形・破壊をきたします。最終的には、若いうちに人工関節への置換が必要になるケースも数多くみられます。致死的出血と同時に、このような生活の質を障害する合併症を予防することが重要です。
 血友病の診断は、出血症状の鑑別に用いられる種々の凝固検査を組み合わせて推測され、さらに凝固因子の働きを定量することにより行います。ことに血友病Aでは凝固[因子、血友病Bでは凝固\因子の低下を確認することになります。家族歴が推測する要因にはなりますが、家族歴なく突然変異で起こるケースも数多く存在します。性染色体上にある遺伝子の異常が原因であり、患者さんはほとんどが男性です。
 治療の基本は凝固因子の補充です。高価な薬剤ですが、幸い日本では種々の医療補助制度により治療の継続が可能となっています。薬剤以外に出血しにくい関節を作るため、筋力の維持や柔軟な身体をつくることも必要です。
 姫路市近傍では、いくつかの医療機関で「姫路血友病・血栓止血ネットワーク」を構築し、情報交換を行っています。今回は当ネットワークの代表世話人を担当している西郷教授が講演したものです 。


神戸常磐大学との共同研究、日本臨床検査医学会学会賞(優秀論文賞)に。


2015-08-31

以前より神戸常磐大学、井本しおん教授のグループと私たちは共同研究を続け、いくつかの論文を発表してきましたが、今回下記論文が優秀論文賞として表彰されることになりました。

受賞論文:臨床病理 第62巻 第1号(2014年1月)に掲載された論文、「ビスホスフォネートがマクロファージの貪食能に及ぼす作業の検討:高輝度蛍光ビーズとヒト単球系培養細胞株THP-1を用いた貪食能の定量測定」  著者:井本しおん、西郷勝康、坊垣美也子、松元英理子、後藤正徳.

論文要旨:ビスホスフォネート製剤は、骨粗しょう症や悪性腫瘍に伴う骨病変の予防・治療、あるいは高カルシウム血症の治療薬等としてひろく臨床に用いられています。しかし長期投与により、顎骨壊死という厄介な合併症を引き起こすことがあることも知られています。その原因は明らかではありませんが、マクロファージの機能低下による易感染性が関与しているとも推測されています。そこで本論分では、本学でも学生実験に多用した蛍光ビーズの貪食を定量する手技を中心に比較検討し、窒素を含有するpamidronateやzoledronateが強く抑制作用を呈することを示しました。今後その対策法の確立に役立つものと期待されます。


鉄過剰状態と老化の関連、献血など鉄除去の効果について講演


2015-06-20

 大倉山合志会学術講演会において、西郷教授が表記の講演を行いました。
 活性酸素種は、脂質や核酸を酸化させ機能異常を引き起こすと同時に、老化の引金になります。過酸化脂肪酸が、マクロファージという貪食細胞に貪食されることが動脈硬化の始まりになることはよく知られた事実です。
 この活性酸素種は、細胞内のエネルギー産生機構であるミトコンドリアから漏れ出てくる他に、好中球などの白血球の過剰な活性化、メタボリック症候群、喫煙など様々な機構で常に産生されています。さらに、体の中に鉄が余分にあると、Fenton反応という化学反応などを介して、大量の強力な活性酸素種が産生されることも知られています。即ち酸化ストレスを強く受け、老化、発癌、脳の変性疾患、動脈硬化などが進展する可能性が高い訳です。一般的に、酸化ストレス対策として、野菜などの抗酸化物質をしっかり摂取すること、運動を続けることなどが推奨されています。抗酸化物質は、余分な活性酸素種をつぶしてくれるし、運動は生体内の抗酸化機構(スーパーオキサイドディスミューテースなど)の増強に繋がります。
 さらに別な方法はないのでしょうか? それが献血であることが確かです。献血を沢山しているヒトの方が、血管のしなやかさが良好であること、心筋梗塞のリスクを減らすこと、インスリンの感受性が良好で糖の代謝に良好な効果を示すこと、そして癌死亡を減少させること、などが数多く報告されています。 赤血球の中には、ヘモグロビンという酸素を運搬する蛋白質が詰められています。そしてこのヘモグロビンが酸素を運搬できる理由は、ヘモグロビンの中に鉄があるからなのです。献血で赤血球を減少させると、その分、体の中の鉄を減らすことができ、酸化ストレス減少させることに繋がります。つまり献血は、大切な社会貢献であると同時に、赤血球献血は生体内の鉄を減少させ、酸化ストレスを減少させることになるので、「献血は自分のため」、であるとも言えます。


高齢者の血液疾患とその予防について講演


2013-06-06

 リーガロイヤルホテル(大阪)公開講座にて「老化による血液の病気と血液検査」というタイトルで、西郷教授が講演しました。

 白血病を含む多くの血液疾患が高齢者に発症しますが、多発性骨髄腫や骨髄異型性症候群は、特に高齢者に頻発する血液疾患といえるでしょう。本講演では、血液検査や骨髄検査の方法、一部の検査結果の解釈について説明しつつ、実際の患者さんの情報を混ぜながら、これらの疾患の診断や治療について解説しました。

 多発性骨髄腫は、異常な形質細胞の増殖により、免疫グロブリンの産生異常をきたすと同時に、腫瘍細胞により骨の融解が起こり、多彩な症状をきたす疾患です。未だに根治療法は確立されていませんが、新しい薬物の開発により、その予後が大きく改善しつつある病態です。
急性の腰痛症で発症した75歳の女性の患者さん、身動きできない状態となり整形外科では多発性の腰椎圧迫骨折と診断されました。しかし貧血や血液総蛋白の増加を足掛かりに多発性骨髄腫(IgG-κ型)と判明、ベルケイド、レブラミドといった新規薬剤の効果が認められ、検査所見の改善に加え、腰痛も完全に消失し日常生活をエンジョイできるようになりました。

 骨髄異型性症候群は、さまざまな後天性の遺伝子異常の蓄積により造血細胞の質的な変化をきたす疾患です。急性白血病については、薬物治療でもかなり完全な治癒が得られるようになっていますが、本症では同種造血幹細胞移植(他人からの幹細胞移植)によるより完治することは不可能です。しかしながら、高齢者では、移植療法は危険性が高すぎるため実施できないことが大半です。
献血により貧血を指摘され、診断された症例や、特殊な染色体異常(5q−)によりレブラミドが著効した症例を供覧しました。しかしながら新規薬剤を含む薬物療法の有効な症例は決して多くなく、今後の大きな課題と言えるでしょう。

 このような状況のなかで、何らかの予防法はないのでしょうか? 鉄の除去療法(献血や瀉血しゃけつ)やカロリー制限が、発がん予防に有効である可能性について紹介しました。鉄は、赤血球のヘモグロビン(酸素を運搬する蛋白)の重要な構成要素です。同時に余分な鉄分は、フェントン反応という化学反応を介して活性酸素腫を産生し、酸化ストレスをきたすことが発がんに寄与します。従って余分な鉄をためず、元気な人はしっかり献血して鉄を減らすことが発がん抑制にある程度有効であることが証明されています。

 カロリー制限には、長寿遺伝子の活性化などを介して、抗酸化ストレス酵素(スーパーオキサイドディスミューテースなど)の産生増強に結びつき、やはり酸化ストレス軽減する効果があること、また、細胞レベルでのオートファジーという自浄能力を高める作用を示すこと、などの作用を介し、発がん抑制につながる可能性が考えられています。
 
 いかなる疾患も予防に努力し、できるだけ早期に発見するように努めたいものですね。



輸血副作用とその対策について講演


2012-8-13

  姫路赤十字病院にて、輸血副作用、発生のメカニズム、および考えられる対策等につき、西郷教授が講演しました。

 日本の輸血医療は、世界一安全と言っていい程先進的な対策が取り入れられています。しかしながら、数ある治療薬の中では非常に副作用の起こり易いものであるのも事実です。ヒトから献血により作り出された、いわば「生もの」なので、ヤムを得ない側面がある訳です。
 その中でも、命にかかわるような副作用は極力防ぐこと、いち早く対策をとることが強く望まれています。以前は、ABOの血液型間違いの赤血球製剤輸血による「事故死」が最も多かったのですが、様々なIT関連対策もとられるようになり、ヒューマンエラーが極度に少なくなったため、死因トップの座は、次に示す「輸血関連急性肺障害」に移っています。輸血関連急性肺障害については、昨年2月5日に講演した内容を本トピックス欄に要約していますので、ご参照下さい。
 私たちの研究室では、以前より「輸血関連急性肺障害」のメカニズムに迫る目的で、好中球(白血球の一種)の活性化について検討してきています。そして、つい最近、赤血球が溶血して漏れ出してくる鉄含有分子、ヘム、がその引金の一翼を担っている可能性について紙上発表させてもらいました。 (Kono M, Saigo K, Takagi Y, Kawauchi S, Wada A, Hashimoto M, Sugimoto T, Takenokuchi M, Morikawa T, Funakoshi K. Morphological and flow-cytometric analysis of hemin-induced human neutrophil activation: Implications for TRALI.  Blood Transfusion, 2012) 残念ながら、完全な予防法も確立できておらず、治療法も手探りである状況が続いていますので、研究の進展が望まれます。

 今後の輸血医療の更なる発展には、話題のiPS(京都大学 山中先生の誘導多能性幹細胞)を利用した、安全な輸血製剤の開発も貢献してくれるかも知れません。しかし、まだまだ献血が必要である事態には変わりないでしょうから、元気な皆さんの積極的な献血をお願いします。実は、献血は単にヒトのため、ではないのです。自分の健康増進ためにもなるのですよ!それは、余分な鉄を減らすことにより、酸化ストレスを軽減でき、血管年齢も若返る、ということです。今後益々輸血が必要な医療が増えるでしょうが、献血者の減少には歯止めがかかりません。西郷も、たまには貧血落ち、にもめげずこれまで28回献血しました。よろしくお願いします。



「ヘム関連分子似よる好中球の活性化とその制御」を講演


2012-6-27

 第6回播磨血液疾患・輸血量法研究会において、西郷教授が表記の講演を行いました。
 赤血球の中には酸素を運搬するヘモグロビンがあります。その中心には鉄分子が含まれています。この蛋白が、赤血球の外に放出されると、極めて毒性が強く、好中球を異常に活性化させる可能性が示されてきました。私たちは、この件につき、電子顕微鏡を使った超微細構造観察や、活性酸素種の産生を指標に証明してきました。
 このような活性化を防止できる薬剤についても検討中です。
 下の写真中PMAやfMLPは好中球の活性化剤、細胞が多数の突起を出し、細胞質に空胞が形成されています。ヘム関連蛋白のヘミンやPP\では、空胞の無い、しかも細かい多数の突起を形成しており、PMAなどとは異なるメカニズムで好中球を活性化させていることが推測されました。


フローサイトメトリーによる血液疾患診断の基礎について講演


2011-12-3

 日本検査血液学会-認定検査技師試験事前講習会において、西郷教授が表記の講演を行いました。
検査血液学会は、10年余り前に設立された比較的新しい学会ですが、血液学検査領域においては大きな影響力を持つ学会に成長しています。この学会が設立された目的の一つは、血液疾患関連の検査技術レベルを進歩させる目的での、認定検査技師制度の確立でした。西郷教授は、設立当初から認定検査技師制度にかかわっていますが、今回は認定試験事前講習会におけるフローサイトメトリー検査の意義について講演しました。

 フローサイトメトリーは、一つ一つの細胞の表面、あるいは細胞内抗原を、単一の抗原を認識できるモノクローナル抗体を用いて検出し、疾患の正確な診断、治療効果の判定、再発の早期診断などに応用するものです。一症例(マントル細胞リンパ腫)の解析結果を提示しました。CD19、CD20などが陽性のB細胞腫瘍で、表面免疫グロブリンはλ鎖のみが発現され異常細胞集団であることがわかります。さらにCD5というT細胞抗原を有し、CD23が陰性という特徴から、上記の診断の可能性が導けました。





教室文庫、学生に親しまれています!


2011-3-14

 以前から西郷教授室前にある健康管理学教室文庫は、少しずつ拡充しています。 漫画も若干ありますが、結構長編小説にもチャレンジする学生が居るようです。 気軽に医学・薬学の勉強になるものも置いていますので、是非利用して下さい。なお、利用後は返却を必ず!





骨髄異形成症候群における酸化ストレスの意義と
鉄キレート療法による影響、について講演


2011-2-19

 第1回兵庫ヘマトロジーカンファレンスにおいて、西郷教授が表記の特別講演を行いました。
 骨髄異形成症候群は、非常に幼若な造血幹細胞のレベルから異常があり、貧血や血小板減少、あるいは難治性の白血病に移行する疾患群です。もちろん遺伝子異常が基盤にありますが、活性酸素種による酸化ストレスも病勢を悪化させる働きを有するものと考えられます。私たちの研究室では、周辺の医療センター、日赤病院、赤穂中央病院、加古川市民病院、高砂西部病院などと協力しながら、骨髄異型性症候群における酸化ストレスの実態、さらに鉄過剰を改善する鉄キレート療法による酸化ストレスの変化などを検討しています。今回の講演では、私たちの研究内容と同時に、酸化ストレスに関する解説を行いました。本学の学生たちも数名聴講に来てくれて、頼もしかったですね。
 図は骨髄異形成症候群における酸化ストレスの影響をイメージしたスライドです。





輸血関連急性肺障害について講演


2011-2-5

 第32回播但血液造血疾患研究会において、西郷教授が輸血関連急性肺障害(TRALI)について講演しました。
 TRALIは輸血関連副作用の中でも最も重篤なもののひとつで、現在では関連死亡原因のトップとなっています。この副作用の原因には、白血球に対する抗体の存在と、それによる白血球ことに好中球や、血管内皮細胞の活性化が関与することは確実ですが、それだけでも説明できない部分があります。私たちの研究室では、シスメックス株式会社と共に、好中球を活性化させるものとしてヘミン(酸素を運搬するヘモグロビンの変性したもの由来)による好中球活性化のメカニズムを検討していますが、今回の講演では、この研究内容を含め、最近の知見を紹介しました。
 原因を突き止め、あるいは予防策を確立し、このような重篤な副作用が起こらない安全な輸血医療に寄与したいと考えています。図はTRALIに関連する可能性のある要因が、好中球の活性化につながることを示したスライドです。



鉄キレート療法と造血幹細胞移植について講演


2010-7-19

 平成22年度移植検査部門研修会(高松市)において、西郷教授が表記の講演を行いました。
 造血幹細胞移植を受ける患者さん、すなわち難治性の造血器疾患の患者さんは、繰り返す輸血あるいはその他の要因により、鉄過剰状態となっていることがしばしばあります。鉄の過剰は、生体への酸化ストレスの要因となり、移植療法にも少なからず悪影響を及ぼすことが確認されつつあります。このような状況の中で、鉄キレート療法による体内鉄減少をはかることが重要であることが明らかになっています。
 本講演では、このような実態について多数の学術論文を紹介し、酸化ストレス軽減策について、移植関連のみならず、日常生活での配慮すべき事柄も含め解説しました。
 図は、本講演でも紹介した、奇跡のりんごの本の表紙です。無農薬リンゴの栽培に成功した農家の涙ぐましい努力が紹介されています。そして、無農薬で栽培したリンゴは、切っても茶色くならない、つまり酸化されにくいのだそうです。農薬で育ったか弱いリンゴに比べ、たくさんの抗酸化物質が含まれているものと推測されます。我々が日常食するものも、こうあるべき、と思いますね。




貧血の原因と対策について、加古川市民健康フォーラムで講演


2009-5-16

 加古川市の市民講座で西郷教授が貧血の原因や対策、治療法について講演しました。学生の知識としても重要なものであり、本学の学生も10名近く参加しました。当日の講演内容は、後日ケーブルテレビでも放映され、講演の始まりに話した、『東加古川の美味しい焼き鳥屋』についての質問も寄せられています。 図は、貧血の原因には様々なものがあり、その診断や治療は容易ではない、ということを示したスライドです。


Birthday Partyをしました!


4-29(火)

 健康管理学教室にて3,4,5月生まれのお誕生会を行いました。出席者は西郷先生、炬口先生の担任の生徒7名とそのお友達2名。西郷先生からのお祝いのケーキで楽しいひとときを過ごしました。森脇さん(3月21日)、藤原くん、炬口先生(4月19日)、橋本さん(5月4日)は、西郷先生からお誕生日プレゼントもいただきました。次回は7月の予定です。

健康管理学講座教室文庫オープン


4-14(月)

 教授室(Y508)前に文庫本が並べられた本棚を設置しました。これは、学生さんにたくさんの本を読んでもらいたいという西郷先生の希望から生まれたミニ図書館です。先生の愛読書から英語の絵本までジャンルは様々、興味のある本があればpick up、貸し出しは自由です。多忙な学生生活、本を読んで心を癒してみませんか。