姫獨スポーツ

藤谷監督・山口千尋さん
ユニバーシアード女子サッカー
日本代表選出記念号
女子サッカー部

日本代表に本学から2名選出

本学HPで既報のとおり、第29回ユニバーシード女子サッカー日本代表として山口千尋さん(医療保健学部こども保健学科3年)がMFの一員として、また、藤谷智則監督(女子サッカー部監督)がコーチとして選出されました。
本学女子サッカー部と言えば、関西学生女子サッカー1部リーグ3連覇中の関西女子サッカーの常勝チームとしてだけでなく、インカレの常連校、過去2度の皇后杯出場など輝かしい実績を残して来ていますが、今回の両名の日本代表選出によって活躍の場が国内だけでなくワールドワイドになってきたことは学生の皆さんをはじめ学校関係者にとって喜ばしいニュースです。今回は、その山口さんと藤谷監督へのインタビューを通じて詳細をお伝え致します。

ユニバーシアードとは

Universiade【ゆにばーしあーど】

全世界の学生を対象としたスポーツの総合競技会。別名学生オリンピックともいう。国際大学スポーツ連盟F d ration Internationale du Sport Universitaire(フランス語、略称FISU)が主催し、2年ごとに夏季、冬季両大会を開く。
前身は第二次世界大戦前に行われていた国際学生競技会で、1923年にパリで第1回大会を開いたあと、1939年のウィーン大会(第10回)まで続いた。第二次世界大戦後は、東側と西側に分裂、東側は「青年学生スポーツ大会」、西側は「国際学生スポーツ週間」の名でそれぞれに大会を開いていたが、1957年東西の間に歩み寄りがみられ、合同大会が同年パリで行われた。ユニバーシアードの名称は、1959年のトリノ大会(イタリア)からつけられたが、実質的にはこのパリ大会がユニバーシアードの始まりとされている。大会は途中まで、夏季大会を奇数年、冬季大会を偶数年に開いてきたが、1981年から冬季、夏季の順で同じ奇数年に開催することに変わった。
参加資格は、ヨーロッパ、アジア、アメリカなどそれぞれに教育制度が異なるため、多少の幅をもたせてある。年齢は、大会開催の年の1月1日に17歳を超えた者および28歳に達していない者の範囲内で、大学の在学生および開催年の2年前以内に卒業した者となっている。
実施競技は、夏季大会が陸上、競泳、飛込、水球、体操、バスケットボール、テニス、バレーボール、フェンシング、サッカー、卓球、自転車の12が正式競技で、選択競技として柔道などがある。また冬季大会はアルペンスキー、スキージャンプ、クロスカントリースキー、バイアスロン、カーリング、フィギュアスケート、アイスホッケー、ショートトラックの8競技が正式競技で、ほかにスノーボードなどを開催地の希望により選択を認めている。[日本大百科全書(ニッポニカ)]より

代表選出までの経緯
ユニバーシアード日本女子代表チャイニーズ・タイペイ遠征 2015.12

日本代表が銅メダルを獲得した第28回ユニバーシアードが終了した2015年12月、全国の大学サッカーチームの中から推薦された選手による日本代表チームが編成され、海外遠征を行う事になりました。これには、次回のユニバーシアード開催が決定していたチャイニーズタイペイフル代表からの国際試合の要請に応えるためという目的の他に、日本側にとっても新しい世代の選手への「引継ぎ」の意味があったのではないかと思われます。その新生日本代表候補とも言えるチームの一員として本学女子サッカー部の山口さんが推薦されました。
  遠征先で行われた試合では、持ち前の素早いドリブルを活かしてゴールを見事に決める活躍。これが後々、首脳陣に大きくアピールすることになりました。

トレーニングキャンプ in 静岡 2016.12

第29回ユニバーシアード日本代表チーム選考が本格的に動き始めたのは翌2016年12月のことでした。姫路獨協大学女子サッカー部から山口さんの他にMFの原優香さん(当時人間社会学群1年)も代表候補に選出され、静岡でのトレーニングキャンプに参加することになりました。わずか3日間のキャンプ。どれだけ首脳陣にアピール出来るかというのは、選考結果に大きく影響します。前年の台湾遠征を経験し、今回招集されたメンバーと既に面識のあったことが、山口さんにとって幸運であったかもしれません。幾分リラックスして臨めた山口さんは代表候補に残り、初参加で、初対面の人達ばかりの中、実力を充分発揮することが出来ず次の候補から漏れてしまった原さんには不運だったのかも知れません。このキャンプには、本学女子監督である藤谷智則監督もコーチとして参加。代表候補選手達の指導にあたっています。

学連選抜合宿 2017.03

大会まで残り半年を切った2017年3月。学連選抜合宿が行われ、山口さんと原さんに加え、多田彩華さん(当時経済情報学部2年)も合宿に参加しました。

トレーニングキャンプ in 東京 2017.05

最終選考ともいえる4日間の代表候補トレーニングが行われたのは、同年5月のことでした。このトレーニングに集められたのは、24名の候補選手。(うち1名がケガのため不参加でした)ほぼ、日本代表メンバーが固まったと言って良い時期でしょう。キャンプ中に体調不良のため脱落する選手が1名あり、この時点で候補選手は22名にまで絞られました。7月の代表選手の発表までの1ヵ月半、彼女は緊張して発表を待つこととなりました。その時の心境を「もし、代表漏れになったら悔しいと言うより、(漏れる選手の方が数少ないので)恥ずかしいなとむしろ緊張して発表を待ちました。」と山口さんが語ってくれました。同年7月4日。日本サッカー協会(JFA)より第29回ユニバーシアード 女子サッカー日本代表選手の発表があり、MFの一員として山口さんが選出されることになりました。同時に、代表チームコーチとして本学女子サッカー部監督の藤谷智則監督も参加することになりました。

藤谷智則監督・山口千尋さんへのインタビュー

- 今回代表に選ばれた時の心境はいかがでしたか?

(山口)
嬉しいと言うよりホッとしました。5月の最終選考に参加していたのが22人で、そのうちの20人がメンバーとして選ばれるような状況でした。ですから代表から漏れることが恥ずかしいと思ってました。その意味では発表があるまでドキドキでしたね(笑)。最終選考もそうなんですけど、その時の調子っていうのは大事で、合宿中の調子で(上からの評価が)変わるので、シビアだなと思いました。その意味では、トレーニングキャンプ等でアピール出来たのは、運が良かった面もあったんだと思います。
(藤谷監督)
3月の合宿の際に初日に足を痛めたんですよ。普通だと次は選らばれないかなと諦めるところなんですが、彼女は前年に台湾との親善試合で得点を挙げたりしてインパクトを残していたんで、次に繋がったんですね。
(山口)
代表から漏れた人達は、たまたま力が発揮できずに不運だったんだと思います。静岡でのトレーニングキャンプで、私の場合、その前年の台湾遠征で顔見知りが沢山いたんですが、同じ大学から一緒に参加した原さんの場合、初対面の人たちばかりだったのでリラックス出来ずに実力を出せないまま3日間が終わってしまったんだと思います。

- いつ頃からサッカーを始めましたか?そのきっかけは何でしたか?

(山口)
小学校4年生の頃はじめました。お兄ちゃんがサッカーをやっていて、練習や試合を見る機会が多くて自然に自分も始めました。地元鹿児島の鹿屋市というところにある鹿児島少年団に入っていたんですけど、私以外は男の子ばかりのクラブでした。中学校は少しサッカーの強い学校に行きたかったので、地元で女子サッカーが強かった神村学園という学校に入学して、中等部・高等部では寮生活しながらサッカーに打ち込みました。高校時代、1年生の時にFWで出場した全国高校女子サッカー選手権で準優勝、MFにポジションが変わった2年生の時は3位に入賞しました。

- 山口さんにとって、サッカーの面白さってどういうところですか?

(山口)
大学に入ってからのサッカーは、以前やっていた中・高(神村学園)でのサッカーと全然違っていて、色々学べるものがあって面白いかなと思います。神村学園サッカー部は、ドリブルしかしないチームで、技術よりも「走力」とか「誰かのために頑張る」という精神論にウエイトを置いたチームでした。自分にとってサッカーの基盤となっているのは、そのような神村学園のサッカー(特に中等部時代)なんですが、大学に入ってからのサッカーはパスワークを使ったもので、この大学のサッカー部でパス回しの楽しさを覚えました。

- 監督からご覧になって、山口さんの選手としての魅力はどこにあるとお考えですか?

(藤谷監督)    
スピードに乗って仕掛けられるところですね。動きが速く、鋭い切り返しが出来たりするのが武器で、他の女子選手にはない動きの機敏さが魅力ですね。それから、脚は速い方ですね。一瞬で加速するので楽々と相手のDFを突破出来ることも魅力だと思います。

- 大会本番に向けての抱負をお願いします。

(山口)
初めてチームに参加した時は1年生で、上の学年の人に着いて行くのに必死だったんですけど、代表合宿の時は2年生、そして3年生の今は、代表チームの後輩の力になりたいなと言う気持ちが強いです。大会について、今まで海外のチームと対戦するのは2年前の台湾を除いて初めてなので、すごく楽しみにしています。たぶん、身体能力に長けている部分がいっぱいあると思うし、そういう選手にどこまで自分のレベルが通用するのかは、楽しみな部分です。代表チームの一員として優勝することが目標であることは確かですが、自分としては、チームのためになれればなと思っています。現在3年生なので、私がユニバーシアードに携われるのは今回が最後のチャンスなので何か残せたらなという思いもあります。

- 将来の夢を教えて下さい。

(山口)
出来る限りサッカーを続けたいと思っています。どんな形であれ、ずっと携わっていきたいですね。それから、現在、こども保健学科に所属しているので保育士・幼稚園教諭の他、養護教諭の資格取得も目指しています。

質問の中にあった、山口さんの選手としての魅力については、本学女子サッカー部の原さんとともにフリーのライターさんが編集長を務める「関西学生サッカーPRESS」のブログサイトの中でも採り上げられています。

今後のスケジュール

8/9~8/13 国内合宿トレーニング 静岡
8/14 台湾出発
8/15~8/19 現地合宿トレーニング
8/20~8/28 ユニバーシアード 本番

今のところ、予選リーグの初戦、8/20(日) コロンビア戦、第二戦、8/22(火) ブラジル戦は決定していますが、以降の試合は予選結果での順位決定戦となります。過密スケジュールの大会ですが、山口さんの大活躍を期待しましょう!