10月30日(金)、姫路文学館学芸員の甲斐史子氏を講師にお迎えし、「『播磨国風土記』入門」というテーマでお話をうかがいました。講演要旨は以下の通りです。
奈良時代初めの和銅6年(713)、政府は国々に各地の地理や特産物、伝説などを記録した報告書の提出を求めた。その報告書「解」がのちに「風土記」とよばれるもので、播磨、出雲、常陸、肥前、豊後の5つの国の写本が残されている。郷里制の施行時期から判断すると、これらの風土記の中で最も早く作られたのが、『播磨国風土記』であり、姫路に置かれた播磨国府でまとめられた。編纂を担当した可能性のある国司として、巨勢朝臣邑治(こせのあそんおおじ)、石川朝臣君子(いしかわのあそんきみこ)、楽浪河内(さざなみのかわち)が挙げられる。『播磨国風土記』の唯一の写本、三条西家本を発見したのは、加賀藩第5代藩主の前田綱紀であった。
『播磨国風土記』の特色は、土地の肥沃度が細かく記載されていること、『古事記』や『日本書紀』に見られない独自の神、伊和大神(イワノオオカミ)が登場すること、朝鮮半島や日本各地から来た神や人々にまつわる記事が多くみられることである。
講義では『播磨国風土記』の解読文も紹介していただきましたが、受講者は「ウンコ」が登場するユーモラスな内容に新鮮な驚きを覚えていました。
(文責:講座担当責任者 大塚健洋)