授業内容 (到達目標を含む) |
【一般目標】医薬品の有効成分の大半は低分子有機化合物であり、入手可能な化合物を出発物質として通常、多段階の各種反応を経て合成される。医薬品を含む目的化合物を合成するために、基礎化学、有機化学I、IIおよびIIIの講義で習得した知識を活用し、個々の官能基の導入法、変換法、炭素骨格構築法などに関する技能、態度を習得する。
【概要】実習の内容としては、代表的な官能基の導入法、官能基の他の官能基への変換法、縮合反応、炭素−炭素結合生成反応などを実施する。また、実験を通して、試薬・溶媒の取り扱い、目的化合物の単離・精製法、実験機器の使用法、反応廃液の適切な処理法などを身につける(阿部、山中)。さらに、IR、NMR、あるいは旋光度等のデータ解析を含め、実験結果に関する報告レポートの書き方を学ぶ。最後に、授業計画内記載の到達目標の到達度を測定するために定期試験を行う。(阿部、山中)
配布する実験テキストにおける課題、観察結果や実験結果に関する考察とそのレポートへの記述を通し、問題解決能力の醸成を目指す。
【到達目標】授業計画内に薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠した到達目標を記載する。
※ディプロマ・ポリシーとの関連については、薬学部医療薬学科のカリキュラムマップを参照してください。
Y18-0324 |
授業計画 |
1 |
概要説明:実習の概要と注意事項を説明する。 (阿部) |
2 |
アセチルサリチル酸(アスピリン)の合成:サリチル酸のアセチル化、再結晶による精製の実験を行う。(山中)
C3-3-3-1, C3-3-4-3 |
3 |
安息香酸メチルの合成:Fischerエステル合成と減圧蒸留の実験を行う。 (阿部)
C3-3-3-1, C3-3-4-3 |
4 |
NaBH4還元によるアルコール(ラセミ体)の合成:ケトンのヒドリド還元を行い、キラルな第二級アルコールのラセミ体を合成する。(山中)
C3-3-4-1 |
5 |
酵素反応による光学分割:前項のアルコールに酵素による光学分割を行い、生成物のエナンチオマー過剰率(光学純度)を測定する。(山中)
C1-3-1-7, C3-3-3-1, C3-3-4-1, C2-5-1-4, C2-5-1-5 |
6 |
Friedel-Craftsアシル化反応:Friedel-Craftsアシル化反応により芳香族ケトンを合成し、IRスペクトルを調べる。 (阿部)
C3-2-3-3, C3-3-4-3 |
7 |
Wittig反応:Wittig-Horner-Emmons 反応によりアルケンを合成し、カラムクロマトグラフィーによる精製ののち、NMR を調べる。(阿部)
C3-3-4-1, C4-2-1-1, C2-5-1-2, C2-5-1-3, C2-5-1-5 |
8 |
融点測定、各種データ解析(1H-NMR, IR, 光学純度)、実験結果解析:各合成反応で得られた生成物のスペクトルや物性、収率を解析する。(阿部、山中)
C2-1-1-1, C2-1-1-2, C2-4-1-3, C2-4-2-1 |
9 |
有機化学問題演習:実習で取り組んだ反応実験に関連した演習問題に取り組む。(阿部、山中) |
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教科書 |
自作の実験テキストを配布する。 |
参考文献 |
1年次の基礎実験で配布した基礎実験(化学)のテキスト |
評価方法・基準 |
評価対象:実験への取り組み方、実験レポート |
評価基準:全出席を前提とし、上記の到達目標について、実験への取り組み方(20%)、実験レポート作成(80%)の到達度を測定する。レポート中、実験に関する問題へのフィードバックは、実習中に、あるいは実習後の Classroom により行う。 |
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授業外における 学習方法及び 履修にあたって の注意事項 |
白衣着用、保護メガネ着用。
事前配布する実習テキストを読んで、当日の実験内容を理解しておくこと(90分)。
実習の各課題を実施した後は、レポートの作成へ向けて結果の整理や考察を行うこと(90分)。 |
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