姫路獨協大学 薬学部
生理学研究室

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  ひらめきときめきサイエンス当日風景

〜ひらめき・ときめきサイエンス〜ようこそ大学の研究室へ〜

実施日時:8月1日(土)9時半〜16時半

その日、前日から薬学棟に泊り込んでいたが早朝の激しい雨で目が覚めた。集中豪雨で参加者の当日キャンセルが相次ぐ、一瞬、嫌な予感がよぎる。ネットで天気予報を確認したが、気が重くなるばかりである。

 7時になり、1Fの質量分析器室に入った。つい先日、機械の差込口が開かないという初歩的な異常が生じたから、どうしても直前に自ら確認しておかなければならない。もし質量分析器が使えなければこのイベントは間違いなく失敗する。正常に作動することが確認でき、一安心した。

  9時前になり、2Fに上がるとスタッフは既に準備に取り掛かっていた。スケジュールや役割分担の確認をしていると、1Fエントランスに参加者が既に集まり始めている。慌てて、各自の持ち場に散り、9時半定刻に受付を開始。高校生5名・中学生22名さらに小学生および保護者も参加され、用意した40人分のイベントバッグはすぐに無くなった。当日キャンセルは一人のみで、予想は完全に裏切られた。車椅子での参加者も来てくれている。研究室のレイアウトを変更し、車椅子がどうしても入れない場合には丸椅子を用意し、実習に全員参加できる環境を既に整えてある、問題はない。

 10時、本多薬学部長に開会の挨拶をしていただいた。質量分析器でノーベル賞を授与された田中耕一先生は、博士ではなく学士であることは以前から存じていた。改めて伺うと、学位と研究能力とは必ずしも一致しないとつくづく思う。引き続いて、私が午前中の実習説明をし、10時半から6班に分かれて実験・施設見学を行った。今回のテーマに迫るためには、9段階のプロセスを経る。全てを1日で終えるのは無理なので、4段階を体験して残りは見学していただいた。20分毎にローテンションが組まれているので、持ち時間を守らなければならない。最初こそ焦ったが、次第に余裕が生まれ解説が丁寧になり、学生達とやり取りできるようになった。最後のグループを送り出し、12時半から昼食タイム。今回は、兵庫県以外からも参加者があり、奈良県から来てくれた学生達とお礼を兼ねて会食した。参加の理由を尋ねると、薬学部ではなく理学部志望で、夏休みの理科宿題として参加したとのことである。学部は異なっていたが、理科好きを増やすことに繋がればこのプログラムの趣旨にも適う。

  午後、一回目の講義では、レポートの書き方 午前の実習を振り返りながら、報告書の書き方と解説した。2回目の講義では、生体をつくるたんぱく質の不思議 田中耕一先生がどのようにしてタンパク質を解析できる質量分析機を開発したのか、解説した。不可能を可能にするだけでは、科学者としては不十分である。原爆と原子力発電を例示したが、戦争ではなく平和と社会に貢献しうるか否か、科学者には品格も問われる。予定より30分ほど遅れたが、悪天候の中、多くの参加者が残ってくれた。不可能に挑戦し、実現可能な技術として実用化し、社会に貢献できる科学者になられることを期待して、参加者全員に未来博士を授与した。

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