姫路獨協大学 薬学部
生理学研究室

Home
メンバー
研究
教育
業績
競争的資金
共同研究
イベント
学外の活動
コラム
アクセス

 
 第32回日本神経科学大会が、2009年(平成21年)9月16日から19日の3日間、名古屋国際会議場で開催されました。我々の研究室から2演題(業績:学会発表1、2)、共同研究室から1演題(業績:学会発表3)の発表がありました。 我々は世界に先駆けて中枢神経系細胞の形質膜上に15デオキシ-デルタ12,14-プロスタグランジンJ2(15d-PGJ2)の特異的結合部位が存在することを既に報告しております。学会発表1では、 15d-PGJ2膜特異的結合部位はタンパク質から構成されており、15d-PGJ2膜標的タンパク質を同定しました。 15d-PGJ2膜特異的結合部位はアポトーシスに関与しうる低親和性結合部位と細胞保護に関与しうる高親和性結合部位の少なくとも二つの異なる部位が存在します。 実際の15d-PGJ2膜標的タンパク質は、予想を超えて十数種にも達しました。その中には、これまで謎とされてきた15d-PGJ2膜透過に関与しうる膜タンパク質やアポトーシスに関与しうる膜タンパク質が含まれていました。 15d-PGJ2はアルツハイマー病および血管障害性痴呆の共通のメディエイターとなっている可能性があります。その標的タンパク質は、これら神経変性疾患治療剤の新規ターゲットとして期待されています。今回の発表に関する特許はまだ公開されておりませんが、共同研究を希望される場合には公開前に開示いたしますのでご連絡願います。
学会発表2では、ラット乳幼児期の母子分離ストレスが成熟後の行動に与える影響を包括的行動解析系により検討した結果を発表しました。行動解析を網羅的に行ったこともあり、その手法に関する質問を多数頂きました。また、母子分離ストレスの原因や行動異常につながるシステムについても質問を受けました。Social interaction testと呼ばれる社会性を測定する試験で主に異常が検出されたのですが、この行動異常の原因を脳のシステムレベルに帰属することは現行の神経科学では難しく、その方法論に関する様々な議論を、聴いて頂いた先生方と交わすことができました。

<< BACK           NEXT >>