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薬学部コラム

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第44回

Ted.comのすすめ

生物物理化学研究室 武知佑樹 助教


 皆さん、TEDという言葉を聞いたことはありますか?大変有名になってきたため、もうご存知の方が多数いるかも知れません。TEDとは、Technology, Entertainment, Designの略で、ideas worth spreadingの理念に従い活動する非営利団体です。具体的には、素晴らしい考えを持って行動している人や、世界の第一線で活躍している人に講演を依頼し、その講演会の主催をしています。まだTEDを知らないという方に向けて、TEDで行われた講演動画を無料で視聴することのできる「Ted.com」というサイト(図はTed.comのトップページです)を本コラムでご紹介します。
 講演者には、ノーベル賞生理学・医学賞を受賞したDNAの二重らせん構造の共同発見者ジェームズ・ワトソン博士、元アメリカ大統領ビル・クリントン氏、マイクロソフトの創設者ビル・ゲイツ氏、ノーベル平和賞を受賞したロックバンドU2のボーカリストのボノ氏、『これからの「正義」の話をしよう』で人気を博したマイケル・サンデル博士など非常に著名な人物も選ばれています。薬学に関連した話題だと、最新の癌研究やゲノムミクス・プロテオミクスの最前線についての講演などがあります。科学、芸術、哲学、政治、ビジネス等分野は問わず。ある講演動画では、標高約4,000 mの高原地帯アルティプラーノから幻想的な星空を眺めることもできます。お使いのインターネットブラウザで”Ted.com”と検索をかけてサイトを訪れてみてください。英語でのプレゼンが主ですが、日本語字幕付きとなっているものも多数あります。各テーマの視聴時間は3分から20分程度と様々。普段では全く知り得ない分野の方々のアイデアに触れてみるのは刺激的ですよ。
 さて、ここではそんなTEDにおける私のお気に入りの講演動画を1つ紹介させてください。ブレネー・ブラウン博士による”Listening to shame”(恥について考えましょう)の講演です。博士は恥の研究を長年している方です。恥の研究??と私は思いましたが、皆さんはどうでしょうか。恥とは「すみません、私のような人間は間違いです」という感情として定義されるのだそうです。これを慢性的に持っていては大変です。しかし、一時的に感じるこのような感情も恥であり、人間なら誰しもが持つ避けられない感情だと博士は教えています。”恥”ずかしながら、私もこのような感情をよく経験しています。何かで失敗をする度に、「十分な人間にいつなれるのか。」と。何やら感傷的な話題に移行してしまいそうですが、そうではありません。「恥は悪くありません。でも、人間らしさであるが故の恥が、挑戦のない人生にしてしまうのですよ。気を付けましょう。」とブラウン博士は言うのです。人によって状況は違っても、大事な決断をする場面で「本当に自分にできるのか?それほど自分に能力が無いのでは?」といった恥に遭遇することが決して少なくはないと思います。では、そんな恥に対面した時どうしたら良いのだろう?という疑問について、ブラウン博士が示唆に富む提案をくれます。詳しくは Ted.com(http://www.ted.com/ )にてご覧ください。研究に裏付けされた、博士の心温まる物語です。是非、見ていただきたい講演動画の一つです。
 Ted.comを通じて素敵なアイデアを共有しませんか?  

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