姫路獨協大学 薬学部
生理学研究室

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研究紹介

当研究室においては、下記の2課題の研究を行っている。

課題I: 神経変性疾患メディエイターとしてのシクロペンテノン型プロスタグランジン
課題II: 内在性抗癌物質としてのシクロペンテノン型プロスタグランジン

神経変性疾患と癌、一見、疾患としては無関係に思われる。しかし、細胞死という観点でみると、アルツハイマー病等の神経変性疾患では神経細胞が死ぬことが、癌では細胞が死なないことが病因となっている。いずれの疾患も細胞死をうまく制御できなかった結果、発症する。そして、神経変性疾患と癌、その両者に共通の因子がシクロペンテノン型プロスタグランジンである。
プロスタグランジン(PG)には、細胞表面に受容体のある古典的PGと細胞内に取り込まれ核に移行するシクロペンテノン型PGに分けられる()。シクロペンテノン型PG中、Δ12-PGJ2は内在性抗がん物質として見出された。その代謝産物である15-deoxy-Δ12,14-PGJ2(15d-PGJ2)にも抗がん作用が見出され、その核内受容体peroxysome proliferator-activated receptor γ (PPARγ)を介してアポトーシスを誘導することが報告されている。一方、正常細胞である繊維芽細胞に作用させると、PPARγを介して脂肪細胞に分化することが報告されている。2000年、我々は世界に先駆けて 15d-PGJ2 に神経細胞死誘発作用のあることを見出し、出願した [特許2000-300775]。2001年、神経細胞において15d-PGJ2 がアポトーシスを誘導しうることが他グループからも追認された(Neuroreport 2001,12,839)。15d-PGJ2 による細胞死の機構解明は、神経変性疾患と癌の両者の発症機序解明に繋がり、治療薬開発の契機となる。