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久保田 康介

06

Interview

弁護士YouTuber

久保田 康介さん

自分とは1つの作品。

より良い作品にするために

自分磨きを続ける。

06

Interview

弁護士YouTuber

久保田 康介さん

自分とは1つの作品。

より良い作品にするために

自分磨きを続ける。

プロフィール

弁護士(第一東京弁護士会)。ベリーベスト法律事務所所属。兵庫県小野市出身。姫路獨協大学法学部卒業後、2014年京都大学法科大学院を修了。2017年4月動画投稿開始。同年5月弁護士登録。YouTube「Kubota Channel」のチャンネル登録者数は約42万人。これまでの投稿動画は660本。司法試験対策の講師として講座動画の販売も。著書に『弁護士YouTuberクボタに聞く「これって犯罪ですか?」』(KADOKAWA、2019年)、『弁護士「セルフブランディング×メディア活用」のすすめ』(第一法規、2020年共著)。行政書士試験・宅建士試験にも合格。

弁護士を目指された経緯を教えてください。

高校は体育科で陸上(円盤投げ、砲丸投げ)をしていたのですが、その時に先輩後輩の上下関係や指導者に起因する理不尽なことをいくつか経験したことと、家庭でも父らが法律を知らないばっかりに相続で不利益を被ったりするトラブルを身近で見ていて、弁護士を志すようになりました。

姫路獨協大学に在学中の学びや学生生活で頑張ったことなどを教えてください。

指定校推薦で姫路獨協大学法学部に進学しました。1年生の時の刑法の授業で教授が「偏差値が上の関関同立でも1年生から法律の勉強をはじめる学生は少ない。法律の勉強なら彼らに勝つことも可能だ」と励まされ、「なるほど」と納得したことをよく覚えています。1年生の後半から本格的に司法試験に向けた勉強を始めました。頑張っている学生には手厚くサポートしてくれる先生方でした。
ただ私も勉強ばかりしていたわけではなく、バドミントンサークルでバドミントンを始めました。2年生の時にはサークルから部に昇格しました。バドミントンは今も続けています。
当時の姫路獨協大学は組織としてどういう方向に進むべきか探っている時期だったと思います。大学が学生に何かを強制することはなかったため、そんな自由な雰囲気が良かったです。勉強をしたい学生は勉強を、部活に打ち込みたい学生は部活をという感じでした。キャンパスは広々としていて、図書館を勉強場所によく使いました。今でもたまに姫路を訪れて当時の恩師や友人に会うことがあります。姫路の街はコンパクトシティでとても住みやすい印象を持っています。

姫路獨協大学卒業後に京都大学の法科大学院に進まれた理由を教えてください。司法試験に合格されるまでに苦労されたことはありましたか?

当時は姫路獨協大学にも法科大学院があったのですが、より競争の激しい法科大学院で揉まれたかったことが進学の理由です。法科大学院の入試を司法試験の前の腕試しとも考えました。いざ法科大学院に入ってみると、期待を裏切るような内容の授業だったことから一時的に法律の勉強に嫌気がさしました。そのせいで成績が落ちて奨学金がもらえない状態になり、休学して行政書士の試験講座の講師のアルバイトでお金を貯めました。大学在学中に行政書士試験に合格していたのが役に立ちました。復学後はアルバイトをしながら通学したのですが、学費を工面するのも苦労し、生活も常にギリギリの状態でした。それが一番の苦労でした。実はその後、司法試験に合格し、司法修習後に研究者の道に進もうと考えていました。しかし、法科大学院の教授に相談した際に、大学の教員も学内行政の仕事が忙しく研究する時間はあまりないことを聞き、それなら自分が習得した法律知識を売るビジネスをしながら好きな研究をしようと考え、司法試験合格後は1年ほど弁護士登録をせずに、オンライン上で司法試験対策の講義動画の販売を始めました。それがその後のYouTuberの活動につながりました。

弁護士活動で印象深かった事案を教えてください。

いずれも訴訟にまでは発展せずに早い段階で解決できたものです。1つは医療法人での事務職員へのパワハラ事案で、1カ月で解決金を勝ち取りスピード解決しました。もう1つはYouTube上での著作権違反事案で、動画の証拠を収集し違反申立てをして動画を削除させることができました。

久保田康介さんインタビュー画像1

YouTubeでの活動に比重を置かれるようになっていった経緯を教えてください。

オンライン上で司法試験対策講座の販売をしている時に、講座のサンプル動画をYouTubeに上げていたこともあり、「今、YouTubeが熱いな」と感じるようになりました。2016年頃のことです。以前から「弁護士がニュース解説の動画を上げたら面白いのでは」という発想を持っていたので、試しに当時ニュースを賑わしていた高校バレーボール部の体罰に関する解説動画を上げたところすぐに1000回の視聴があり手応えを感じました。
それで2017年から本格的にYouTubeチャンネル「Kubota Channel」(https://www.youtube.com/@kubota_mainch)を立ち上げて、動画投稿をスタートしました。当初は週2回の投稿でしたが、今は週1回のペースで、これまでに660本の動画をアップしました。チャンネル登録者数も2018年に10万人を突破し、現在は約42万人です。YouTubeをしている弁護士では全国で2番目の多さです。今は弁護士活動を休止し、YouTubeと司法試験講師業、法律事務所の広報活動を中心にしています。所属するベリーベスト法律事務所のYouTubeチャンネルの運用も任されています。

「Kubota Channel」ではどんなテーマの動画を上げているのですか?

法律知識の解説動画では「警察官の職務質問はどこまで許されるのか」、「不倫の慰謝料額はどれくらい?」、「盗撮の違法ライン」といった身近にありそうな問題だけどよく知られていないテーマを考えます。人気動画は、「YouTube界の水戸黄門」よろしく、架空請求業者に一般人を装って連絡を取り、最後に弁護士を名乗って対決したらどうなるかというシリーズです。「弟を名乗るオレオレ詐欺を撃退」、「弁護士vs偽警察官」、「弁護士を名乗る架空請求業者を完全論破」など、さまざまな手口で不安を煽ってお金を騙し取ろうとする悪質業者を追い込んでゆく動画をアップしており、中には視聴回数が1170万回というのもあります。こうした動画の制作で気をつけていることは、ユーザーの求めている動画を作ることです。自分の作りたい動画があっても、ユーザーがそれを求めていない場合には作らないようにしています。また人気ゲーム「逆転裁判」の実況プレイのシリーズは、視聴者の要望を受けたものです。

仕事やプライベートでのモットーがあれば教えてください。

正しく努力し続けるということです。私は自分という人間を1つの作品だと捉えています。バドミントンは大学生で始めて今も続け、試行錯誤をしながらある程度上達しましたし、司法試験の勉強で法律の知識も蓄えられました。また、法科大学院生の頃は経済的に困窮していましたが、今では金銭的に困ることはなくなりました。今のこの自分の能力や地位は成績表のようなものです。言い換えれば、今の自分はこれまでの自分が積み重なってできたある種の作品とも言えるでしょう。今でもなお、最終的な成績表を良くするために努力し続けています。努力を怠れば中身のない作品になってしまうので、自分磨きが必要です。バドミントンでは年齢の5歳刻みの枠がある全日本のシニア大会を目指そうかなとも考えています。また英語がずっと苦手だったのですが、これも克服できると信じて勉強を続けています。英語を使いこなせるようになり、英語を使ったYouTubeチャンネルを立ち上げたり、英語圏でビジネスをはじめたいと考えているところです。

今、「オトナ1年生」の自分にメッセージを送るとしたらどんなメッセージですか?

「自分を深く知れ」ということですね。意外と自分について深く考えることのできる機会は少ないです。学生の多くは就職活動の時期になって自己分析をすると思うのですが、早い時期からもっと解像度高く自分を認識すべきだと思います。自分がどういうときに頑張れるのか、どういうときに喜怒哀楽を感じるのか、どんな適性や能力があるのかなど、いろんな物事を通じてその結果を客観的に分析することをおすすめします。それができると何を目指すべきなのかが見えてきますし、無駄が減ります。例えばロールプレイングゲームの魔法使いが一生懸命に筋力をアップしても仕方がありません。魔法使いなら魔法を覚えたり、魔力を上げたりすることが先決です。しかし、現実社会を見ると自分に適性のない分野であがいている人も結構見かけます。どういう道を進もうか考えるにあたっても、しっかりと自分を知ってからの方がいいです。学生時代のすべてを費やして自分を試し、自分を知ることに注力してもいいとすら私は思っています。高校生と違って大学生は時間の余裕ができるので、自分を試すには絶好の時期です。私は36歳ですが、いまだに新たに自分のことを知る経験をすることが何回もあります。失敗を通じてもっと若くから自分のことを知っておくべきだったと後悔することもあります。たとえば、私は、YouTubeで手のひらサイズのミニチュア調理器具を使った料理チャンネルを立ち上げたことがあります。その動機は当時ひそかに流行っていて自分にもできそうだったことにありました。期待に胸を膨らませつつ、ミニチュアの道具一式を買い揃えてその準備をしました。しかし、こまごまとした作業は私の不得意とする分野ですし、チャンネルを軌道に乗せるだけの充分な時間も確保できなかったため、結局チャンネルを閉鎖するに至りました。このことから、私は何かをはじめる際に必要以上の買い物をしてしまう傾向があることを知りましたし、得意分野から離れた分野のことをはじめても結果に繋がりにくいことを知りました。以降は、何かをはじめる際には自分にその適性があるのかどうかをしっかりと検討しています。また、法科大学院の受験生時代には、直前期になっても勉強のモチベーションが上がっていないことに気が付きました。そこで、司法試験においても直前期に頑張り切れないことを前提とした勉強プランを立てて、乗り切ることに成功しました。試験のことで言うなら、試験が目前に迫ってきてから頑張れる人もいるでしょうし、前もって早くからやった方がいい人もいるはずです。

これから大学進学や社会に出ていく「オトナ1年生」にもメッセージをお願いします。

「自分を知るとともに社会を知れ」と言いたいですね。「敵を知り己を知れば百戦して危うからず」ということです。自分が目指しているものがどういうものなのかを解像度高く知ることが大事です。自分の適性では到底越えられない壁だと分かれば、やめておいた方が無難です。その一方で、世間の常識がいつも正しいとは限りません。勉強していろんな知識を身につけることで、自分の頭で考えて正しい選択を導くことができるようにしてほしいです。自己認識が難しいと思う人は、小中高の学校時代の自分を振り返ってみると、意外と自分のことが分かります。クラスの中でどんな立ち位置だったとか、どういった場合に成果に繋がったとか、自分の体験を振り返ることで自分という人間が見えてきます。それでも難しければ素直に周りの人に自分のことを聞くという手段もあります。今はインターネットで簡単にさまざまな知識が手に入る時代です。つまり自分の行動次第で他人と差をつけることもできますし、他人に差をつけられることもある時代ということです。自分を知り、何を目指すべきか見極め、しっかり準備すれば、それなりの結果がついてくるはずです。

久保田康介さんインタビュー画像2

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