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薬学部コラム

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第47回

「平成24年度 健康増進教室の開催」

ゲノム解析学研究室 柴田 克志 教授


 ゲノム解析学研究室では昨年10月から12月にかけて、配属学生とともに地域住民を対象とした「健康増進教室」を開催しましたので、その内容について教員コラムで報告したいと思います。「健康増進」とは、英語で「ヘルスプロモーション(health promotion)」と訳されます。WHOでは「ヘルスプロモーション」を「人々が自らの健康とその決定要因をコントロールし、改善することができるプロセス」と定義しています。ヘルスリテラシーという言葉がありますが、これは特に健康増進や維持に必要な医療情報を入手し、理解・利用するための能力の事を言いますが、ヘルスプロモーションには不可欠な要素と言えます。すなわち、健康を維持し、QOL (Quality of Life) を向上させるためには、病院や診療所で提供される医療のみならず、自ら自身の健康をコントロールし改善するための個人的能力を高める必要があるというわけです。

 さて、今回の健康増進教室は、姫路獨協大学の駅前サテライト教室にて、生活習慣病予防をテーマとしてシリーズで三回開催しました。具体的には、「生活習慣病と食事療法について」(第一回)、「生活習慣病と運動療法について」(第二回)、「生活習慣病とがん予防」(第三回)というものです。毎回30名程度の方々が参加され、生活習慣病に関するアンケート調査、学生による講義に続き、参加型のグループ学習を行いました。当研究室にとっては初めての試みということもあり、企画立案にあたっては姫路市保健所の職員、保健師の方がたにも多数ご助言を頂きました。実際に開催してみると三回連続して参加して下さる方も多く、学生との間に程よい親近感も生まれて和気あいあいとした雰囲気のなかで進めることが出来ました。

講義風景画像

講義風景

 特にグループ学習では、 学生が主体的に内容を企画し大いに盛り上がりました。第一回目の「食事療法」では、各グループで夕食の献立メニューを作り、そのカロリー計算を行ったりする中で、専門知識をわかりやすく提供する事が出来たと思われます。また、「運動療法」の回では、日常生活において簡単に行える健康体操を紹介しましたが、後日参加者の方から詳しく教えてもらいたいとの問い合わせが大学に寄せられました。「がん予防」では、一般的に喫煙と肺がんとの関連は有名ですが、まだまだその他のがんと生活習慣との関連については認知度が低く、これからも機会があれば紹介していく必要があると思われました。学生諸君は思いついた事があればそれを大胆におし進め、プレゼンテーションや企画能力も優れており、これはゆとり教育の賜物なのかなと感心させられました。

筑波大学での集合写真

筑波大学での集合写真
(後列右から前野先生、阪本先生)

 12月には茨城県つくば市において筑波大学医学部主催、小学六年生を対象とした食育教育にボランティアとして引率・参加しました。筑波大学医学部では従来から地域医療教育に注力していますが、平成16年度から「地域ヘルスプロモーションプログラム」がカリキュラムとして設立され、これまでに様々な地域医療貢献プログラムを実践しています。食育教育に参加させてもらった後、筑波大学医学部・地域医療教育学の前野哲博教授を訪問し、阪本直人講師や医学部学生らとともに筑波大学の地域医療教育に対する取り組みなどについてのお話を伺うことが出来た事も、今後の私たちの取り組みを発展させるための貴重な経験となりました。

 今回、健康増進教室に参加された方々は、姫路市内で開催される様々な健康教室などにも日頃からよく参加されている、いわゆる健康意識の高い方々が多かったようです。自身の健康管理にあまり積極的でない人たちにも、健康増進・維持に日々の生活で気を付けないといけない事を伝えていけるよう、今後とも学生とともに考えていきたいと思っています。また、薬学部の学生が医療人として社会に貢献する事の意義や楽しみを実感し、医療人としての目標を設定してもらいたいと思います。そうすればきっと国家試験もそれほど重圧にはならないでしょう。

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