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【報告】薬学部5年生の中谷有沙さんが、第33回関西地区ペプチドセミナーで優秀発表賞を受賞! [薬学部]

2016年11月24日に近畿大学東大阪キャンパスで開催された「第33回関西地区ペプチドセミナー」にて、薬学部生物分析化学研究室・学部5年生の中谷有沙さんがポスター発表した論文「人工ユビキチンリガーゼによる急性前骨髄性白血病の抑制効果」が『優秀発表賞』を受賞しました。


この賞は、セミナー参加者全員の投票にもとづき、ポスター発表40題中、獲得票数の多いトップ3題のみに贈られた栄誉ある賞です。


発表内容は、かねてより同研究室・准教授の宮本和英先生が疾患の検出・診断用として開発してきたE3ユビキチンリガーゼの一部機能を模倣した人工タンパク質(人工E3)の発展応用研究を扱ったものです。


ユビキチンは、細胞内で古くなった不要タンパク質に目印として付加され、一部のがん細胞などではこのユビキチン化反応過程に制御異常が見られることが知られています。そこで、このユビキチン化反応過程の途中に存在するE3ユビキチンリガーゼという酵素の構造の一部のみを取り出して別のタンパク質に移植した人工E3を設計し、本来不要タンパク質に付加されるユビキチンを人工E3そのものが受け取ることができるようにしました。人工E3そのものがユビキチン化されるようにすることで、生体内で起こっているユビキチン化反応の挙動を非常にシンプルに追跡することが可能になります。


今回の中谷さんの発表では、多種存在するE3の中でも急性前骨髄性白血病に関わるとされるE3(SIAH1)の構造をもとに開発した人工E3が、単に検出・診断用としてだけではなく、急性前骨髄性白血病細胞内に導入することでその細胞の増殖を著しく抑えることを明らかにしました。また、予備的な実験では、SIAH1由来の人工E3は、別の乳がん由来の培養細胞に対しては比較的低い増殖抑制効果しか示さないことがわかりました。


今後、この研究が進展して、様々な疾患に関わるE3の構造をもとに人工E3を設計できるようになれば、それぞれの疾患のみに特異的に効果を示す細胞増殖抑制剤を開発できるようになると期待されます。


薬学部 第33回関西地区ペプチドセミナーで優秀発表賞
薬学部 第33回関西地区ペプチドセミナーで優秀発表賞