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【報告】「総合教養講座」の授業において姫路市長による講義が行われました。


10月4日、「総合教養講座(地域政策と地域貢献)」において、今年も石見市長から、「幸せ 感動 夢ある姫路」というテーマでご講義をいただきました。そのいくつかを担当教員の目からご紹介します(市長のお話を少し脚色してしまうかもしれませんがお許しください)。


どんなまちにしたいかが重要だが、これはずっと自問自答、職員との議論の連続だ。まずは市民の幸せとして、安全、保健、利便、快適というOECDが挙げる4つを考えてきた。

戦後の日本は豊かになり、焼け野原――姫路のまちもお城以外はみな焼けてしまった――から立ち上がって、治安がよく、衛生的で、便利で快適な、豊かな社会をつくってきた。

しかし、いま日本人はひ弱になってしまった。便利で快適になったが、それで人間が弱くなってしまっている。 将来の日本は諸外国とわたりあっていけなくなるだろう。 それなのに、もっと便利に快適にと欲が強く、自分勝手な要求をして「足るを知る」ところがない。負担と受益、現在の利便と将来負担のバランスを考えなければいけない。今は無料で快適でも、20年、30年後には借金で大変なことになってしまう。

議論し、検討していくには、「石見5原則」と呼んでいるものを使っている。

  1. 究極の目的と当面の目標を混同するな
  2. まちづくりは二律背反
  3. ニーズは推移する
  4. ピンチはチャンス、チャンスはピンチ
  5. 市民には4種類:現在-未来、狭域-広域の二軸で

次に、なにを、だれに、いつ、どこで、どのように実現するか(5W1H)を絞っていく。たとえば姫路駅前を考えてみよう。姫路駅に来る人の8割は通勤通学なので、自動車優先で造られているのはおかしい。大通りは道路というより“公園”にしよう、というふうに具体化していく。

安全・保健・利便・快適の四つはこうして満たされていくが、それだけでなく、感動のあるまち、たくさんの物語があるまちにしたい。遠野物語(柳田国男)のように、人々が地区の様々なことを語ってくれるようなまちにしたい。


長く市政を引っ張ってこられた石見市長の熱い思いと深みのあるアイディアがほとばしり出て、時間が少々足りなくなってしまいましたが、あとから学生の質問にも答えていただきました。

紙幅の都合、ここでは質問だけを紹介します。姫路が政令指定都市になることを国がどう見ているのか、ドクターヘリについて、市長は外国のどんなことにカルチャーショックを受けられたか、駅前喫煙所の位置取りには受動喫煙防止の点で問題があること、などです。学生も当面の課題と究極の目的をよく区別して考えているようでした。

この「総合教養講座」はこのあと、姫路市の諸施策を市の御担当者に、また、姫路市経営者協会のご協力で企業を中心に様々なリーダーにご講義をいただく予定です。

文責・高橋克紀(人間社会学群教授)