平成31年3月5日(火)、人間社会学群現代法律学類の刑事法系ゼミ(刑法ゼミと刑事訴訟法ゼミ)の課外授業として、加古川市にある加古川刑務所を参観しました。刑事収容施設法12条に「参観」の規定があり、一定の手続をふめば、一般の人でも刑務所を見学(法律上は「参観」といいます)することができます。
加古川刑務所は、もともと西日本を代表する交通刑務所として知られていました(関東では市原刑務所が有名です)。今では、交通刑務所としての役割だけでなく、一般の刑務所、さらには、最近では女子刑務所としての役割も担う、全国でも珍しい複合型の刑務所です。敷地面積は、甲子園球場の6個分ほどあり、収容定員1281名、法務省職員255名と民間職員120名が配置されています。収容者も前述のように、①一般区(961名)・②女区(200名)・③開放区(120名<交通刑務所>)となっており、当日は、それぞれ①722名収容(収容率75.1%)・②41名収容(34.2%)・③181名収容(90.5%)、全体で944名収容(73.7%)となっており、女子の収容率が高いという傾向があります。
施設の特徴としては、①三区分の収容(一般区:犯罪傾向の進んでいない刑期10年未満の男子懲役受刑者、開放区:交通事犯・禁錮受刑者、女区:女子受刑者全般) ②特区を利用したPFI事業を導入した施設で、総務と警備業務等の一部を民間企業に委託し120名の民間職員が従事 ③公共サービス改革法による給食業務の民間委託により処遇区域外の敷地に給食施設を設置して3食をつくり処遇区域内に運ぶ、というようなことがあげられます。
一つの刑務所に三つの異なる受刑者を収容しているので、加古川刑務所を参観すれば、刑事施設を三カ所行ったのと同じ体験ができます。刑事法系のゼミは警察官志望が多く、行刑の実際の現場である刑務所を参観すると、将来の進路に関してモチベーションが上がるようです。「刑事政策」の授業で、刑務所内の処遇について詳しく講義していますが、「百聞は一見に如かず」、施設参観は、教室内での説明より何倍もの教育効果があります。
本学のある播磨地域には、今回参観した加古川刑務所のほか、姫路少年刑務所、播磨社会復帰促進センター、神戸刑務所、少年院の加古川学園と播磨学園があります。現代法律学類では、毎年、これらの施設のいずれかを参観しています。