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剣道部 復活へ助走のはじまり

【剣道部】復活へ助走のはじまり

平成12年から16年まで兵庫学生大会で5連覇を果たし、特に平成14年には男女とも全日本学生大会に出場を果たす等、15周年記念館(武道館)竣工当時、輝かしい戦績を誇った剣道部。 あれから10数年が経過した現在、久しく続いた低迷時代を経て、今年、全日本女子学生剣道選手権大会に個人戦ながら進出、また団体戦においては西日本剣道女子学生大会(出場88校)で神戸親和女子大、常葉大を破ってベスト16入りを果たす等、復活の兆しをみせています。今回は、その剣道部に岡上監督と山本いづみさん(人間社会学群2年)を訪ねて、大会の感想や剣道部のこれからについてインタビューを行いました。

  • -全国大会出場おめでとうございました。剣道部は、2年前、袖山前監督の当時にお話を伺って以来になります。当時、女子剣道は部員が少なくて団体戦に出場出来るほどの人数がいないということを言われていましたが?

  • 監督「はい。おかげ様で昨年から部員も増えまして、大会には出場出来るようになって、少しずつ結果も出てきています。今度9月には団体戦で全国大会出場を賭けた大会もあるので、今度は山本だけではなく、全員で勝ちきって全国出場を決めたいと努力しているところです。実は、私自身も全国大会出場の経験がないので、夢である全国大会出場を是非、叶えたいと考えています。」

  • -今回の全国大会出場についての感想は?

  • 山本「全国大会というのに初めて出させてもらいましたが、まだまだ下級生ですし、周りは先輩ばかりで、緊張で上手く自分の剣道が出来ずに終わってしまいました。」

  • -山本さんは、大阪の履正社高校を出られて本学に入学されていますね。同校は、剣道部の強豪なので、全国大会は何度か経験されているものと思っていたのですが?

  • 山本「はい。男子剣道は、強かったのですが、女子部というのがなくて、男子の中に女子が混じって練習していました。その後、徐々に女子が増えていって、私が3年生の時に女子部として初めて大阪府大会に出場しました。」

  • -それでは、女子部の創部に関わったということですね?

  • 山本「はい。部員は7人で何とか試合に出られる人数の部でしたが、それでもその年、大会で準優勝することが出来ました。」

  • -現在、山本さんは3段ということですが、剣道を始められたのはいつ頃でしたか?また、始められたきっかけは?

  • 山本「小学校の3年生ぐらいからです。きっかけは、小学校の入学式で道場の剣士がビラを配っていて、そのビラをもらって来た弟が行くことになって、弟がやるなら姉(私)もやるっていうことになったのがきっかけです。」

  • -山本さんが剣道をやることについて、ご両親はどのように見ていらっしゃいますか?

  • 山本「大会がある毎に会場まで応援に来てもらっています。両親とも特に剣道の経験者ではないのですが、試合がある毎に色々感想を言ってもらえます。今回の全国大会も、地元の大阪で開催されたので応援に来てもらいました。剣道の試合については、結果によって、すごく喜んでくれる場合もありますが、逆に厳しいことを言われることもあります。(笑)」

  • -小学生の時から剣道をやって来られて、高校、大学と環境が変わっていると思いますが、高校の時の剣道と大学の剣道の違いはありますか?

  • 山本「高校の時は、ずっと先生がいて一から十まで先生に教えてもらって、先生の指導の下で剣道をするっていう感じだったのですが、大学生になって、もちろん先生からの指導もありますが、『試合でどういう風にすれば、どんな技をすれば勝てるのか。』自分でも考えながら練習する機会が多くなりました。」

  • -剣の達人は、構えただけで相手がどの程度の腕前かが分かるというような話を聞きますが、山本さんの場合はどうですか?

  • 山本「私の場合、構えた時に中心がブレない人が強いと感じます。相対した時に『気迫』とか『圧』が違いますね。そのような人に対する場合、(相手に呑まれないように)冷静に自分のペースを崩さず、入っていくスキを探すようにしています。」

  • -競技をやっておられる指導者や選手は、どの競技に関わらず「自分のこだわり」というものを持っていらっしゃると思いますが、山本さんにとって「自分の剣道」とは、どんなものでしょうか?

  • 山本「まだ良く分かりませんが、剣道は練習も厳しく苦しいものです。でも、その練習の成果を出すのが試合です。試合では緊張とは別に、如何に練習の成果を出せるかそれを楽しむものと感じて剣道をやっています。」

  • -剣道は、同じ格技である柔道と比べて、特徴としては精神的な面が求められると伺っています。例えば、相手を敬うということから、試合で勝った際にもガッツポーズみたいなことをすれば反則負けになってしまうというような。

  • 監督「そうですね。私自身も未熟なので、総て指導することは出来ませんが、同じ武道の精神の中でも剣道の精神、特異性を生かしながら学生達と共に成長出来ればいいかなと考えています。」

    山本「私も道場に通うようになって、最初に教えられたことは、竹刀を握ることではなくて、靴を揃えるとか挨拶をしっかりするということを先に教えられました。」

  • -これは、特に監督も意識してそのような指導をしておられるということでしょうか?

  • 監督「そうですね。試合で勝っていく為には、自分で考えて行動して目標を達成することが大切ですし、それを出来るようになることは、社会に出ても必ず通じるものがあるので、そのことを剣道を通して教えて行きたいなと考えています。これが私の指導方針ですね。また、これが出来るのは、前監督がしっかり基本を指導されていたから、学生の自主性に任せられる環境になっているお陰だと思っています。」

  • -剣道の場合、試合が始まってしまうと選手の傍にいて作戦を指示するようなことは出来ませんが、そのような時の心境はどのようなものなのでしょうか?

  • 監督「そうですね。本当にわが子を見るような思いで、選手を信じて『見守る』しかないですね。実際には子供がいないんですけど。(笑)試合前のアドバイスを送ることが出来るギリギリのタイミングまで、緊張をほぐしてやろうと声掛けしたりするのですが、あまり声を掛け過ぎるのも良くない場合もあるので選手の様子を見ながら気を遣うようにしています。」

    山本「選手同士でも、試合が始まるまでは、お互いに声を掛け合って気持ちを高め合うことが出来るのですけど、始まってしまえば声を掛けることは禁止なので傍で見守るだけです。」

  • -現在の剣道部について伺います。現在部員は何名ぐらい所属していますか?

  • 監督「男子20名、女子10名です。7人制の男子、5人制の女子ともに団体戦では選手を選抜出来るだけの構成になって来ました。今は、これから迎える秋の団体戦(関西大会から全国大会)での勝ち残りに向けて稽古に励んでいる最中です。」

  • -剣道というのは個人競技と思っていたのですが、団体戦もあって、むしろ皆と一緒に戦うことが出来る団体戦の方が好きと言われる選手もいらっしゃるそうですね。山本さんはどうですか?

  • 山本「個人戦だと、自分が勝った負けたで終わるのですが、チーム戦だと前の人が勝てば、次の自分も勝って更に次の人に良いバトンを渡そうというような気持ちの部分で違うものがあります。また、戦う仲間が側にいるので心強く、個人戦に比べてリラックス出来ます。」

  • -5月に行われた西日本女子学生剣道大会では、団体戦でも入賞まであと一歩のベスト16にまで進出されました。先程のお話にあった秋に行われる大会では、在学生や教職員の学校関係者も更なる活躍を期待しています。監督には女子だけでなく男子チームも含めた展望。それから山本さんには、大会への抱負をお願いします。

  • 監督「男女とも目指すところは全日本の舞台であって、それを目指すためには日々の剣道、日々の生活です。そこを今一度、見つめ直して誰からも応援してもらえるような剣道部を作って全国大会に出場したい。それが現在の目標です。」

    山本「今の4年生の先輩と一緒に戦えるのは、次の関西の大会が最後になりますので、何としても次の全国大会の切符が獲れるようにチームの一員として力を尽くしたいです。そして、一日でも長く一緒に剣道が出来るように頑張りたいです。」

  • -監督がご覧になって、今の1年生で特に有望な選手をご紹介頂けますでしょうか?

  • 監督「そうですね。全員が有望だと思います。大学剣道の面白さは、自分がどれだけ頑張ったかで『伸びしろ』が出来るところにあるので、その意味から努力している全員が有望な選手と言えます。私自身の目標としては、4年後に勝てる選手を輩出出来ればと思っています。」

あとがき

全日本剣道連盟のホームページには、剣道の理念として、『剣道は剣の理法の修錬による人間形成の道である』と書かれ。剣道修練の心構えを以下のように説かれている。

「剣道を正しく真剣に学び 心身を錬磨して旺盛なる気力を養い剣道の特性を通じて礼節をとうとび 信義を重んじ誠を尽して 常に自己の修養に努め以って国家社会を愛して 広く人類の平和繁栄に寄与せんとするものである」
(全日本剣道連盟のホームページより)

他の競技同様、技能の向上を目指すことは勿論ですが、それ以上に高い精神性や礼節等の人間性をも求められる剣道に邁進する山本さんからは、「求道者」としてのひたむきさや気高さなど、今どきの若者に見ることが少なくなった凛としたものが感じられました。

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