ケンブリッジ大学公開講座の開催報告
ケンブリッジ大学ペンブルック・プレイヤーズ『夏の夜の夢』公演
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本学の主催するケンブリッジ大学の学生劇団ペンブルック・プレイヤーズによる公開公演『夏の夜の夢』が姫路キャスパホールで9月22日午後6時から行われました。本劇団はケンブリッジに多数ある学生劇団の中でも最も活発で人気がある劇団です。『ハリー・ポッター』シリーズにも出演しているエマ・トンプソン、『ナルニア国物語』で魔女役を演じたティルダ・スウィントンなども関係していたそうです。イギリスのコメディで最も有名な集団モンティパイソンが出会ったのもペンブルックだったのです。
伝統あるペンブルック・プレイヤーズの『夏の夜の夢』公演はとても生き生きとして楽しい舞台でした。四組のカップルの恋の錯綜が人間界と妖精界の境界線上で展開し、さらに劇中劇が絡むというシェイクスピアの傑作喜劇は、英語圏では定番の出し物であるがゆえに、演出の妙こそが見所です。今回はヴィクトリア朝時代という設定で、舞台装置や照明や音楽の面では非常にシンプルながら、それゆえに個々の役者の力量が試される演出でした。シシアスとヒッポリタ、オベロンとティターニア、ハーミアとライサンダー、ヘレナとディミトリアス、パックと妖精たち、そしてボトムと職人劇団たち。どの場面も計算し尽くされ、場面展開は映画のように滑らかで見事でした。恋人同士の愛撫といがみ合いにおける感情の爆発は観客を一喜一憂させ、時には笑いの渦に巻き込んだのです。学生劇団だとはとても信じられないハイレベルな舞台は会場を埋めた観客を魅了しました。12月にこの劇を公演する予定の本学学生の劇団メンバーたちも大いに刺激を受けたと思います。
今回の公演は、一昨年度ケンブリッジ大学で長期研修された外国語学部の団野恵美子先生のご尽力により実現したのですが、15日には姫路文学館望景亭にて団野先生により事前公開講義も行われました。今回のジャパン・ツアーにおいて西日本で公開公演されたのは姫路だけでした。この夜会場に足を運んだ人々は本当にラッキーだったと思います。
翌日23日に姫路文学館で行なわれた演劇ワークショップは新鮮な驚きでした。言葉だけでなく体全体を使って感情を表現することが、こんなにも楽しいことだということを参加者全員が実感したことでしょう。集まった100人以上の人たちの表情が来場時とまるで違っていたのが分りました。熱血指導してくれたペンブルックの学生達には惜しみない拍手が贈られました。本学とケンブリッジ大学の関係が継続され、またこのような機会が持てることを切に願うばかりです。
外国語学部 教授 吉本 和弘
ワークショップに参加して ~夢のようなワークショップ~
9月23日の姫路文学館でのワークショップに参加し、ケンブリッジ大学ペンブルック・プレイヤーズの皆さんと楽しく交流させて頂きました。私は日本語学科の学生ですが縁あって吉本先生の授業の英語劇に参加させてもらっています。今年の英語劇では今回上演されたのと同じシェイクスピア原作の『夏の夜の夢』を公演するので、とても勉強になり、とても有意義な時間となりました。
前日の舞台と演技に大きな衝撃を受けたあとで、実際に役者の皆さんと交流ができるという緊張と感動で、もともと芝居好きの私にとってこのワークショップは、夏の終わりのまさしく「夢」のような時間でした。発声・呼吸・演技の練習を兼ねたゲーム、グループによる寸劇など内容は盛りだくさん。役者の皆さんは明るく積極的で、とてもフレンドリーでした。はじめは戸惑いを隠せずにいた参加者たちもゲームを通してコミュニケーションをとっていくにつれて、笑い声の絶えない時間となっていきました。ゲームの中で垣間見える役者さんのプロの部分。ジェスチャーゲームのようなものでさえ、動作、表情の細かな動きによって、テーマだけでなくその背景にある感情・味・匂いなどがありありと見え、伝わってくるのです。言葉がわからなくてもコミュニケーションはとることができると実感した時間でした。
公演を観ているときは「本当に同じ学生なのか」と思うことばかりでした。しかし休憩時間に垣間見えたリラックスした表情や雰囲気は、普段の私たちと変わらないごく普通の学生でした。もっと自分に語学力があればもっともっと仲良くなれただろうし、もっといろんなことを話せたかもしれないのにと思うと、これからも語学を勉強していこうという意欲も湧いてきました。
外国語学部日本語学科2年 爲木 奏
【感想】学生劇団の舞台に大興奮
今回私は、ケンブリッジ大学ペンブルック・プレイヤーズのシェイクスピア作品『真夏の夜の夢』を観ました。吉本先生の英語劇の授業でも同じ演目をやる予定なのでリハーサルも見学させて頂きました。少しルーズというかマイペースな感じの彼らでしたが、リハーサル前の準備運動でゲームをしながら身体を動かし、声を出している様子はとても楽しそうで、飛び入りで参加したくなるほどでした。しかしいざリハーサルに入ると彼らは完全に役に入り込み、演出や舞台監督の学生も細かな指示を出し、劇団員と議論したりして、本格的で驚きました。本番の舞台はとても印象的。手作り衣装のシンプルさのせいか派手さはありませんが、それぞれの登場人物の性格や雰囲気がはっきり分かるくらい役作りに力を入れていると思いました。舞台には背景も無く、いくつかの小道具のみ。音楽も彼らの生演奏のギターや生歌などでとてもシンプルな舞台でした。しかしとても躍動感があってテンポよく続き、息もつかせぬ展開で、約2時間という上演時間はあっという間でした。とても楽しく沢山笑わせてもらいました。オリジナルの演出で、私たちとは違った解釈をしていたり、とても激しい動きがあったりで学ぶことも多く、私たちの劇団メンバーの士気も大いに上がりました。とても貴重で楽しい時間を過ごさせてもらいました!
外国語学部英語学科4年 田中磨奈枝