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2013年11月19日

播磨学Ⅱ(第5回)を開催(報告) [教務課・地域連携課]

11月1日(金)、姫路市教育委員会文化財課の福田剛史氏をお迎えし、「書写山円教寺について――指定文化財建造物を通じて――」というテーマでお話しいただきました。講演要旨は以下の通りです。

円教寺は、姫路市の書写山(標高371m)の山頂に位置する寺院で、康保3(966)年、性空上人によって開かれた。比叡山・大山と並ぶ天台宗三大道場の一つで、「西の比叡山」と称されている。西国三十三カ所(観音巡礼)のうち、27番札所でもある。また、トム・クルーズ主演の「ザ・ラスト・サムライ」の撮影場所となったことでも知られている。

円教寺境内の建造物の文化財指定(文化財保護法)は、13件22棟にのぼる。そのうち国指定重要文化財が8件13棟、県指定重要有形文化財が3件7棟、市指定重要有形文化財が1件1棟、国登録有形文化財が1件1棟で、境内は国指定史跡となっている。

開基の性空上人は、延喜10(910)年に生まれた(諸説あり)。比叡山に登った後、日向の霧島山、筑前の背振山で約20年間修業を積み、山陽道を東上中に、まれにみる霊気を感じて書写山に入山したという。上人56歳の時のことである。そして、現在の金剛堂付近に草庵を設け、そこで修業に励んだのが、円教寺の始まりといわれている。上人は夢前町の弥勒寺において98歳で入滅した。

書写山円教寺境内の国指定建造物としては、修行道場の中心となる「三之堂」があり、大講堂、食堂、常行堂がコの字型に配置されている。大講堂は、内陣にしき瓦を敷いた天台宗の伝統的な本堂形式で、下層が永享12(1440)年に、上層が寛正3(1462)年に建築された。寛正頃に建てられた食堂は、日本建築史上最大の二階建て仏堂建築である。常行堂は、90日間不眠不休で本尊の阿弥陀如来の廻りを時計回りに周回する「常行三昧」の修行のための専用の堂で、享徳2(1453)年に建築された。

また「奥之院」も国指定建造物となっており、性空上人を祀る開山堂、その北側に上人に従い給仕した乙天(不動明王)と若天(毘沙門天)を祀る護法堂、その南に護法堂拝殿がコの字型に配置されている。その他の国指定建造物としては金剛堂、鐘楼、寿量院、十妙院があり、摩尼殿は国の有形文化財に登録されている。

11月22日から24日まで、円教寺では紅葉まつりが開かれ、十妙院と金剛堂、県指定重要文化財の本多家廟所が特別公開されるので、ぜひ足を運んでいただきたい。

(文責:大塚健洋)